強大な悪の組織。強大な権力。
それに立ち向かう人間の生き様。
そんな光と闇を描いた映画、『ナックルガール』がAmazonプライムで独占配信された。
韓国発のWeb漫画を日本版で実写化ということで大々的に広告されたので視聴。
感想をまとめる。
悪に立ち向かう女性ボクサー
まず、この映画のあらすじについて。
将来を有望視される女性ボクサーの妹が自殺。妹は絶対に自殺なんかしないと、姉が独自に調査を開始。調べていくと妹は死を偽装されており、その裏には謎の犯罪組織。そんな裏社会に1人で乗り込んでいく勇敢な女性ボクサーの物語。
あらすじでも語っているとおり、とにかく主役の橘蘭が勇敢でかっこよかった。
自身のボクサーの夢も去ることながら、裏社会へと1人で立ち向かっていく勇敢さ、ボロボロになりながらも妹のことを思って屈強な男を相手にするその心意気。
そんな橘蘭というひとりの人間の生き方に感服ささせられるストーリーだった。
ナックルダスター
裏社会の犯罪組織にナックルダスターひとつで乗り込んでいく橘蘭。
綺麗な顔立ちとは裏腹に盛大なアクションシーンの数々でハラハラさせられた。
ただ、アクションシーンの迫力がある映画だったものの、ストーリーの奥深さやメッセージ性はそんなに感じられなかった印象。
映画はメッセージを込めて制作するものが多いが、今回は原作の実写ということで“アクション”に振った映画だったように思う。
良かったシーン
そんな中で良いと思ったシーン、セリフをまとめる。
ちなみに余談だが、映画を作る上で本当に伝えたい事は、脇役にボソッと言わせることが多いらしい。
ペース配分
「人生もボクシングもペース配分できないヤツはただの素人だ
攻めるとき引くときを見極めるのがほんとのプロだ」
by.田端秀俊
マラソンでも競馬でも、ずっと全力で駆け抜けられるものはない。
何事にも攻めるとき引くときがある。
その見極めを上手くできること。攻めるときに集中して100%を引き出せること。
それが素人とプロの明確な違い。
メリハリを大切したい。
弱者戦略
「予想外の動きで惑わせれば図体が大きかろうが小さかろうが負けるかもしれないと相手は感じることになる
負けるかもしれないと感じたその瞬間からバテ始めるんだ
アリだろうがタイソンだろうが、バテたら負ける」
by.神谷瞬
必勝法はバテないこと。崩さないこと。
逆に言うと、バテさせること、崩すこと。これらが出来れば勝ち筋が見えてくる。
弱者が強者に立ち向かうためには予想外の動きが必要。
予想外の動きをし、考えさせ、余裕を奪う。
そうやって弱者なりの戦略で引っ掻き回すことが最適解。
バランス感覚
「何よりも重要なのはバランス感覚だ
バランスを失った瞬間、全てが崩れ始める」
by.神谷瞬
ボクシングやアウトローに限った話ではなく、全てにおいてバランス感覚は重要。
白か黒の極端な二元論ではなく、間を探すこと。
バランス感覚を手に入れて、全ての均衡を取っていく。自身の立ち位置を考える。
私はそっち側にはいかない
悪の根源である二階堂陽輝に勝利する最後のシーン。
相手は無防備、瀕死状態。
ナックルダスターを着けた拳でトドメをさせる場面で、観客の「キル!キル!キル!」という狂った幻聴が聞こえてくる。
自身の商売道具だった拳を使って悪に手を染める寸前。
「そっち側にはいってやらない」
と、最後に考えを改めるシーンは考えさせられるものがあった。
詳細
『ナックルガール』
原作:韓国発のWeb漫画
上映:2023年11月2日
配信:Amazonプライム独占
【寸評】6.0
アクションシーン満載で凄面白かったものの、期待を裏切る展開や予想を超えるストーリーは見られなかった。
三吉彩花の魅力が存分に伝わった映画だった。
概ね視聴前の期待とおりの出来だったため及第点。
キャスト
監督:チャン
脚本:ユ・ガビョル
橘蘭役:三吉彩花
神谷瞬役:前田公輝
成瀬秀治役:細田佳央太
二階堂陽輝役:伊藤英明
白石誠一郎役:窪塚洋介
東賢太郎役:栄信
大石義行役:神保悟志