エッセイを読む。マイブームだ。
エッセイには、普段自分が考えもしないようなことが書いてあり、考えさせられる。
そのどれもが答えのない問いで、そんな曖昧さが好きだ。
いつか私の書いたエッセイが誰かの手に届くように、勉強としてエッセイに触れる。
BOOKOFFでたまたま手にとって面白そうだった『欲が出ました』を読んだ感想をまとめる。
エッセイ
エッセイとは何か。
自分に問うた時、うまく説明が出来なかったので調べてみた。
エッセイ(essay):自分の感想や意見を自由な形式で述べた散文
つまり、「それってあなたの感想ですよね」ということ。
ひねくれて読むと、元も子もないようなことが綴られている。
逆に、素直な気持ちで読むと、新たな気付きや新鮮な疑問が浮かぶもの。
哲学の様な、友人との議論の様な、答えのないものに価値を感じる私にはもってこいのジャンル。
一見、不毛と思えるような事に価値を見出したい。
心の軍手
軍手をはめると触れるものって多くある。
たった一枚の手袋をはめただけで、素手では触れないものが触れる。
これと同じ要領で、心にはめる軍手を持っておくこと。
どうしても心が折れそうな時、何かに挑戦するとき、心に軍手をはめてみる。
自分にとっての心の軍手を持っておくことで、心が少し楽になるかもしれない。
志は高く、落としドコロは低く
なんか、座右の銘になりそうな言葉だったから共有。
高すぎる目標を持つだけだとなかなか頑張りきれないから、落としドコロやハードルといったものは低く設定しておく。
内に燃える志だけは高くしておくことで、結果的に高い目標がすぐ近くに見えてくる。
ラーメン屋のスープ
ラーメンのスープが入っている大きな寸胴。
スープは、表面に浮かぶネギや豚骨といった余計なものをどかさないと、それだけをすくうことが出来ない。
欲しいものは下の方の澄んだところにあるということ。
作品をつくるときも同じで、本来言いたいこと、伝えたいことを伝えるためには、表面に浮かぶ余計なものをどける必要がある。
なんでも詰め込むでなく、削る勇気。マイナスの美学。
気が済むかどうか
正しさより、気が済むかどうか。
欲が出た人間に対して、正しさで戦っても拒絶される。
そういったときは気が済むかどうかで考えて、相手の気が済んだタイミングで正しさを持ってくる。
気が済むかどうかをクリアしないと、次には進めない。
正しさから話を始めても何の解決にもならない。
一部しか求められていない
本来、人は一部しか求められていない。
結婚はその一部の範囲が広がっていくような事と、著者はまとめる。
何事も、最初は一部に惹かれて関係が始まる。
そう、きっかけは些細でいい。
労働力、顔、身体、メリットデメリット…。
一部を求められるのは、なにもネガティブなことではない。
それは始まりのきっかけでしかなくて、広がる可能性があるということ。
求められる一部を複数、強度を高く持っておく、作り出す。
そんな意識でいることが大切なのかもしれない。
一番興味のない人の視点
エッセイや何かを作るときに、「一番興味のない人」の視点を持つという。
内輪からの言葉だけだと、外側には広がらない。
遅刻しないようにと朝礼で伝えても、遅刻している人はその場にいないように、中からの声だけだと、その輪の外にいる人には届かない。
輪を広げるためには、その輪の外側の人、「一番興味のない人」の視点から語りかける必要がある。
憧れる人の憧れる人
最後に哲学的な話をひとつしよう。
憧れる人の憧れる人という話。
憧れの対象である北欧の暮らし。その北欧の人はどんな暮らしに憧れるのだろう。
マッサージ屋さんは誰にマッサージしてもらってるんだろう。
多くの芸人が憧れと称するダウンタウンは誰に憧れたんだろう。
そもそも憧れるという概念を持っていない人もいるのかもしれない。
詳細
『欲が出ました / ヨシタケシンスケ』
発行日:2020年07月15日
第2刷:2020年07月20日
発行所:新潮社
定価:¥1,100
購入:BOOKOFF(¥750)